蟲師 (6)/漆原友紀
2005年8月17日 あ行の漫画家
たとえて言うなら
モノトーン調の静謐な空間に身を置くような
そこだけ時間がゆったり流れるような
不思議で心やすまる雰囲気のマンガです。
画力が凄いので(マンガ家さんは誰でもうまいけど)
特にカラーの水彩画は独特の趣があり、魅入ってしまうのです。
これも6巻になるけど
こんな不思議な物語を次から次へよくまぁ
思いつく、と尊敬。
その他「囀る貝」「野末の宴」収録
モノトーン調の静謐な空間に身を置くような
そこだけ時間がゆったり流れるような
不思議で心やすまる雰囲気のマンガです。
画力が凄いので(マンガ家さんは誰でもうまいけど)
特にカラーの水彩画は独特の趣があり、魅入ってしまうのです。
これも6巻になるけど
こんな不思議な物語を次から次へよくまぁ
思いつく、と尊敬。
「天辺の糸」てんぺんのいと
普段は尾のついた風船のような形をしていて
光脈筋の遥か上空で、小さな蟲を食べて生きている。
でも、エサに不足すると、糸のような触手を垂らす。
蟲の名は「天辺草」。
この糸に触った少女、吹の物語。
吹にはこの蟲が「ほうき星」のように見えた。
もしも、人には見えない彗星が、自分だけに見えたら
それは彗星じゃなくて、天辺草かも…。
明るくなったら空の星は見えなくなっても
本当はそこに在る。それを忘れないで…。
「夜を撫でる手」よるをなでるて
腐酒(ふき)、光酒の腐れたもの。
本来なるはずの蟲になれずに赤い泥状になって
地下水から湧き出るが毒性が強く、口に入ると死ぬ。
稀に毒に耐える体質の人間がいるが
宿主となり不思議な力を得る。
その力を持つ兄、辰と弟卯介の物語。
山の中でひっそりと生きるきょうだいの姿が印象的。
「雪の下」ゆきのした
雪蟲には色んな種類があるらしい。
一見、雪の結晶と似た形だけど
ちょっと異形。
『雪ならし』は動物の足跡に住み着く蟲で
コレが多いと足跡がたちまち消えてしまう。
狩りや人探しには、ちょっとお邪魔な存在。
『雪団子蟲』は雪の上を転がって雪だまになり
時には大きくなって木にぶつかり雪崩を起こしたりもする。
『常雪蟲』は群で行動して、動物の固体を特定して
まとわりつく。そして体温を奪う。
その動物などの周りにはいつも雪が降っているように
見える。
ギンコのハナシを聞いていた妙はトキのところへ
ギンコを連れて行く。
トキの周りにはいつも雪が深く積もり
本人も寒さを感じないのだ。
湖で妹を亡くしたそのときから…。
妹の死を受け入れていくトキ、トキを思う妙の気持ちが
心に沁みる一編です。
その他「囀る貝」「野末の宴」収録
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